ずっと心のどこかに残っていた、ある言葉。
当時は気にも留めなかったその一言が、
今、静かに意味を持ち始めている。
* * *
私には、20年近く心の隅に引っかかっている言葉がある。
それは——
「文系」である。
理系、文系。
このフレーズを中学生前後から聞き始めた人は多いだろう。
かく言う私もその一人で、中学の三者面談でほぼ初めて聞いた。
「君は文系」
その声の主は、私の中学時代の恩師(現国担当)である。
「いや、私の話聞いてた?
どう考えても理系志望ですやん?」
そう心の中でツッコミを入れる。
説得力のある言葉を聞き流し、希望する道に進んだ。
しかし、何かが噛み合わずに挫折した。
あのときの恩師の言葉の意味を痛感する。
「私は文系」
文章を書いている今が、一番活き活きとしている。
上手い下手は置いておいて、とにかく楽しいのだ。
まあ、楽しくない時もあるがね。
それでも、続けている。
恩師の言葉に当時の私が感化され、別の道を選んでいたらどうなっていたのだろう。
そう思う一方で、これまでの経験がなければ、今の文章は書けていないとも思う。
すべてを経験したからこそ、今の思考がある。
綺麗事かもしれないが、何一つ無駄なことはなかったのだろう。
ifではない。
今を見ている。

