長く続いた関係でも、ふとした瞬間に「何か違う」と感じることがある。
その小さな違和感は、気づかないうちに積み重なり、やがて関係の形を変えてしまうのかもしれない。
これは、10年以上続いた友人との間に生まれた“ズレ”についての話です。
「あれ、ズレてる?」と感じた瞬間
ずっと枯れることはないと信じていたのに…。
何年も綺麗に咲いていたライラックが、突然枯れてしまった。
人間関係も、どこか通じるところがあると思う。
私には10年以上の付き合いの友人がいたが、約2年前のある出来事をきっかけに彼女との縁を切った。
何とも思わず一緒に過ごしていたが、ある日を境に相手の言動に引っかかるようになった。
その違和感の根底にあるのは、「大事にするもの」に対する認識のズレなのかもしれない。
小さな違和感のうちに修正できなければ、やがてそれは大きな違和感となる。
(正直、ここまでくると手に負えない)
何気ない一言が残した引っかかり
私は当時体調がすぐれなかったが、彼女が家の近くまで会いにいくと言ってくれたので、感謝しつつ会うことにした。
座ってお茶ができる場所に移り、話題が私の体調の話になった。
彼女は心配しながら、途中でこう言った。
「私の“数少ない友達”だから…」
その言葉が、頭の中で引っかかり続けた。
「友情って、数で価値が決まるものなのか?」
——そう聞こえてしまった自分がいたのだ。
彼女にそのような意図はなかったのだろうが、誤解されかねない言葉であった。
私はそれまでの関係を振り返り、「ズレてるのかもしれない」と考えるようになる。
そこからは、今まで気づかなかった違和感が次々と浮かんできた。
違和感の正体は「大事にするもの」の違いだった
「大事にするもの」のズレ
——それが、違和感の正体だった。
小さな価値観の違いであれば、幾度となく修正してきたであろう。
だが、これに関しては友人関係を続けるにあたって致命的なものだった。
価値観は目に見えず、意識しないと気づきにくい。
だからこそ、知らずのうちに踏み越えられる。
そして、自身の大事にする価値観を認識した日に、すでに境界線を越えられていたのだと実感するのだ。
お互いの「大事にするもの」を尊重し合える関係では、大きな違和感は生まれにくいだろう。
もしあなたが、明確な理由がわからないけれど友人に対して違和感があるならば、一度立ち止まって考えてみることだ。
「自分は何に引っかかっているのか」
それを知ることは、自分の大切な価値観を認識し、友人との良好な関係を続ける鍵になるかもしれない。
関係を崩す「距離感」とは
価値観の中でも受け流せないものについて、それは心の距離感が関係していると考える。
その具体例を挙げていく。
「話す:聞く」の割合
他者との信頼関係を築くときに、このバランスを意識する人も多いだろう。
それは、信頼関係が構築された後も関係してくると思う。
私の友人には話好きな人が多かったので、お互いが半々くらいの割合で会話するように少し意識していた。
しかし、絶縁した友人とは、ある時期を境にそのバランスが極端に崩れてしまった。
当時、友人は私よりも大変な状況にあったため、当然と言わんばかりにこちらが聞き役になる機会が増える。
それから数年たってもバランスは元に戻らず、自分が本当に話したい内容も気を使って話さなくなっていた。
自分はカウンセラーの役割でもしているのかという気にさせられる。
相手が処理しきれない話題
相手は「ただ話を聞いてもらえれば楽になる」と考えて、不満を晴らしたいから話すのだろう。
(それ自体を否定したいのではないよ? 私にだってそう思うことはある)
しかし、処理しきれない内容を話されたこちらは、それを自分の心にどう置いておけばいいのか困ってしまう。
私が仮に、彼女の恋人や何でも聞いてくれる友人なら良かったのだろう。
しかし、私は彼女にとって“ただの友人A”だと思っていた。
その立場にしては、あまりにも話が重すぎたのだ。
“悩み”という名の大きな荷物を、否応なしに一緒に持たされているような気分になる。
それが何年も続いたのだ。
相手にとって自分がどのような立ち位置なのかを認識し、いずれにせよ友人としての敬意を忘れない。
それができていればよかったのかもしれない。
関係を続けるか、手放すかという選択
「価値観のズレは、必ずしもどちらかが悪いわけではない」
だが、どうしても譲れないものは誰にでもあるだろう。
友人との関係を終わらせたくなければ、小さな芽のうちに摘み取るべきだ。
そうでなければ、「大事にするもの」のズレへと成長し、長年続く友人関係が終わるきっかけになり得るのだから。
自分の感情をすり減らし、無理に関係の維持を試みるのはいいことだろうか。
「本当はどうしたい?」
そうやって自分の心に問いかけてみることをおすすめする。
関係を終わらせることも、ひとつの誠実さと言えるのだから。


