いつもの散歩道が、あるとき、知らない道に変わった。
物理的に変わったわけではないのに、私の体感としては確かに違ったのだ。
「変える」って……想像しているより、簡単なのかもしれない。
* * *
毎朝(行けたらいく)の散歩では、基本的に同じ道を選んでいる。
それでも、季節特有の空気の匂い、道に植っている草花、私が苦手な虫や鳥etc.
毎回違ったものを味わえるものだから、意外と楽しい。
ある日、たまたまいつもの道を逆方向から進んでみることにした。
家の近くの道は散歩以外でもよく使うので、別になんとも思わなかったのだが……
本題は、折り返し地点より先にあった。
その辺の道は、普段散歩でしか行かない。
いつもと違う方向から見た風景は、本当に「はじめまして」と言いたくなるようなものだった。
こんな家あったっけ?
あれ、こんな分岐あったっけ?
半信半疑で進むと、散歩中にいつも見る置物が目に入った。
知らぬお宅の玄関先にあるものだ。
そこで初めて「あ、道合っていたわ」と知れた。
案外、簡単に「未視感」を覚えた。
見慣れたはずの道が、まるで初めて見るものに思える。
そんな不思議な感覚だった。
私は文章を書くために、いつも「違和感」を求めているのだけれど、
いろんな角度から考えては、頭がこんがらがってしまう。
あの日は、いつものように目一杯頭を働かせたわけではなかったのにねぇ。
自分にとっての普通を、文字通り「逆」にしてみただけ———。
そう考えると、何かを変えることって、そんなに大げさじゃなくてもいいのかもしれない。
まあ、毎回上手いこといかないだろうけどね。
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