中学生の頃の三者面談。
あの教室の空気を、なぜか今でも覚えている。
先生は、私にこう言った。
「君は、文系」
理系じゃないの?
理系、文系。
このフレーズを初めて聞いたのは、中学二年生のとき。
三者面談で言われた、件のセリフだった。
……いやいや。
待ってよ、先生。
さっきまでの私の話、聞いてた?
担任から将来についての考えを聞かれ、
「医療系です!」
と答えたのに……。
医療系は、理系ですやん?
そう心の中でツッコミを入れる。
私のことを「文系」と言った担任。
彼は、国語教師でした……。
ちなみに当時の私は、国語が別に得意じゃなかったのよ。
作文も苦手だったし。
(それは、今も変わらないけれど……)
発信元に妙な説得力はあるけど、どこ吹く風と聞き流す。
そして月日が経ち、
私は宣言通りの道に進んだ。
それでも、「書いてみよう」と思った
なったのは、いいものの……。
なぜか、その仕事とは噛み合わなかった。
はっきりとした理由はわからなかったけれど、いつもこう感じていた。
「何かが、致命的なまでに合わない……」
(今は、なんとなく掴めているけれどね)
そこからまた数年が経ち、2026年。
昔の自分では、絶対に想像もつかないことを思いついた。
「よしっ! 書くことに挑戦しよう!」
そんなわけで、あの三者面談のシーンが頭に浮かんだわけだ。
同時に疑問も浮かんだ……。
「私って、本当に文系なのか?」
そう思った理由は単純だ。
国語が特別得意だったわけでもない。
作文で表彰されたこともない。
むしろ、絵の方が褒められていたくらいだ。
(昔の自分から、総ツッコミをくらいそうじゃない?)
まあ、言われてみれば、ねえ?
最近は、文章を書いているときが一番活き活き……
とはしているなぁ。
上手い下手は置いておいて、とにかく楽しい……
とは思うなぁ。
秋の空より飽き性な自分が、約半年とはいえ続いている。
正直に言うけれどさ、
昔は「現代文」って近寄りがたかったのよ。
でも……今なら少しだけ、仲良くなれるかもしれない。
あの一言を、今になって考える
とはいえ……やっぱり不思議だ。
先生は、私の何を見て「文系」と言ったんだろう。
国語の成績?
……いや、それは絶対に違う。
作文?
……それも違う。
話し方だったのかな?
それとも、考え方?
……自分でも気づいていなかった「何か」を見てくれていたのかな。
まあ、当時のご本人に聞いてみないと分からないけれどね。
もし、恩師の言葉に感化され、別の道を選んでいたらどうなっていたのだろう。
想像してみたけれど、文系に進んでいる自分はやっぱり見えない。
たぶん誰かに言われた時点で、「ないな」と候補から外していた気もする。
(天邪鬼だからなぁ)
だから結局、私は今の人生を歩いていたんだろう。
医療の仕事も。
挫折したことも。
そして今、文章を書いていることも……。
あの先生が何を見て、「文系」と言ったのか。
正直、今でも分からない。
もしかしたら、先生自身も深い意味なんてなかったのかもしれないしね。
でも、あの一言は十年以上経った今も、なぜか私の中に残っている。
もし今、あのときと同じように「君は、文系」と言われても。
「そうですね!私こそ、根っからの文系人間です!」
……とは、たぶん言わない。
だって、私は今でも自分を「文系」と言われると少し戸惑う。
だけれども、
あの一言のおかげで、自分のルーツというか……なんというか。
そんなものを考えるきっかけにはなった。
もちろん、先生の言葉があったから、今こうして文章を書いているわけではない。
書きたいと思ったのは、今の私自身だ。
才能があったからでもない。
ただ、「書いてみたい」と思ったから。
でも、昔の何気ない一言をきっかけに、自分のことを少し考える時間ができた。
こんな機会を持つのも、たまには悪くない……。
たぶん、もう二度と会うことはないけれど。
ありがとう、先生。

